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バッグの底で増える使いかけポケットティッシュに女の生活感が出すぎた夜

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バッグの底で増える使いかけポケットティッシュと、私の生活感

女性イメージ

バッグの中で、なぜか春の名残が増えていく

バッグの底から、くしゃっとしたポケットティッシュが出てきた。

しかも、未開封ではない。

一枚だけ使ったような、でも残りはまだあるような、捨てるにはもったいなくて、でも人前で出すには少し恥ずかしい、あの絶妙な状態のポケットティッシュ。

私はそれを見つけた瞬間、なぜか小さくため息をついた。

今日は4月27日。

春の終わりが少しずつ見えてきて、暦の上ではもうすぐ八十八夜も近い頃。

朝はまだひんやりしているのに、昼間は汗ばむ日もあって、服装も気持ちも中途半端になりやすい季節だ。

バッグの中も、まさにそんな感じだった。

ハンカチ。

リップ。

イヤホン。

レシート。

飴の包み紙。

そして、使いかけのポケットティッシュ。

ちゃんとしているようで、どこか生活がにじんでいる。

外では、できるだけきれいに見せたい。

仕事でも、友達の前でも、婚活の場でも、私はそれなりに整えているつもりだ。

でもバッグの底だけは、なぜか私の本音を知っている。

小さめバッグに憧れるのに、荷物が減らない理由

私は小さめバッグを持つ女性に憧れている。

ミニバッグひとつで軽やかに歩いている人を見ると、心の中で拍手したくなる。

「この人、人生の荷物も少なそう」

そんな勝手なことまで思ってしまう。

でも、いざ自分が小さめバッグを持とうとすると、なぜか荷物が入らない。

財布。

スマホ。

鍵。

リップ。

目薬。

予備のマスク。

ポーチ。

エコバッグ。

そして、なぜか複数の使いかけポケットティッシュ。

「これ、いる?」

自分で自分に聞く。

でも答えはいつも同じ。

「一応、いるかも」

この“一応”が、私のバッグを重くしている。

一応、鼻水が出るかもしれない。

一応、誰かが困るかもしれない。

一応、カフェでこぼすかもしれない。

一応、トイレに紙がないかもしれない。

一応、泣くかもしれない。

最後の理由だけ、少し本気だったりする。

大人になると、泣く予定なんてない。

でも、突然涙が出そうになる日はある。

帰り道の電車。

誰かの何気ない一言。

昔好きだった曲。

婚活アプリの返信が来ない夜。

何でもないふりをしているけれど、本当は全然平気じゃない日がある。

そんな日のために、私はポケットティッシュを捨てられないのかもしれない。

捨てられないのはティッシュじゃなくて、不安だった

ある日、バッグの中身を全部出してみた。

テーブルの上に並べると、思った以上にいろいろ出てきた。

自分ではそこそこ整理しているつもりだったのに、出てくる出てくる。

レシートが3枚。

いつのものかわからないポイントカード。

片方だけになったヘアピン。

そして、使いかけポケットティッシュが4つ。

4つ。

私は思わず笑った。

「どれだけ鼻かむ予定だったの」

でも、笑いながら少しだけ胸がざわっとした。

この4つは、全部“念のため”だった。

念のため持っておく。

念のため残しておく。

念のため捨てないでおく。

そうやって私は、バッグの中だけじゃなく、気持ちの中にもいろいろ溜めていたのかもしれない。

言えなかった本音。

断れなかった予定。

やめたいのに続けている習慣。

もう気にしなくていいのに、何度も思い出してしまう言葉。

全部、使いかけのポケットティッシュみたいだった。

まだ使える。

でも、きれいではない。

人に見せるほどではない。

でも、捨てるには少し惜しい。

そんなものばかり抱えて、私は毎日「大丈夫です」と笑っていた。

そして最後に、いちばん古そうなティッシュを開いた。

中から、小さく折りたたまれた紙が出てきた。

レシートかと思った。

でも違った。

そこには、去年の私の字でこう書いてあった。

「無理して笑わなくていい日を増やす」

完全に忘れていた。

たぶん、どこかで聞いた言葉でも、思いついた言葉でもなく、その日の私が自分に向けて書いたメモだった。

私は、使いかけのティッシュを捨てられなかったんじゃない。

あの日の自分からの小さなSOSを、ずっとバッグの底で持ち歩いていたのだ。

びっくりした。

そして、少し泣いた。

もちろん、泣いた涙は、その使いかけポケットティッシュで拭いた。

最後の一枚だった。

なんだかそれが、妙にちょうどよかった。

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