婚活の前夜、私は鏡の前で腕を上げたまま、しばらく固まっていた。
新しく買ったブラウスは、顔色を明るく見せてくれる。
けれど、袖からのぞいた自分の肌を見た瞬間、私の自信は渋谷駅の人混みより早く迷子になった。
「よし、脱毛について調べよう」
そう決意した三分後、私はクリニックの名前で迷っていた。
「渋谷東口院」と「渋谷駅前院」。
近い名前の院が二つあるのか、それとも私の検索能力が毛と一緒に退化したのか。
スマートフォンを握りしめながら、私は小さくつぶやいた。
「美容って、始める前からこんなに方向音痴になるものだっけ」
名前が変わっても、きれいになりたい理由までは変わらない

婚活の前だけ丁寧になる、私の身だしなみ
私は、美容にいつも全力を注いでいる女性ではない。
美容業界で働いていた経験があるので、保湿や紫外線対策の大切さは、それなりに知っている。お客様には笑顔で「毎日の積み重ねが大切ですよ」とお話ししていた。
ところが、自分のことになると話は別だ。
疲れて帰った夜は、化粧水をつけただけで「今日の私、かなり偉い」と自己評価を上方修正する。ムダ毛のお手入れも、「明日でいいか」を繰り返しているうちに、その明日が平気で来月まで逃げていく。
そんな私が急に丁寧になるのは、婚活で誰かに会う予定が入ったときだ。
前日の夜になると、いつもは見て見ぬふりをしている部分まで気になり始める。
腕、指、うなじ、顔まわり。
「相手はそんなところまで見ていない」と思う冷静な私と、「いや、意外と見ているかもしれない」と疑う私が、洗面所で緊急会議を始める。
議長は私。
出席者も私。
結論は毎回、「とりあえず剃っておこう」である。
けれど、慌てて自己処理をすると、肌が赤くなったり、乾燥が気になったりする。きれいになろうとしているのに、なぜか肌から小さな苦情が届くのだ。
私が本当に欲しかったのは、誰かに褒められる完璧な肌というより、服を選ぶたびに腕や脚を確認しなくて済む気楽さだったのかもしれない。
「これを着ても大丈夫かな」と鏡の前で立ち止まる時間を、もう少し短くしたかった。
そんな気持ちから、私はTCB東京中央美容外科の医療脱毛について調べ始めた。
「別の院ができた?」と、ひとりで慌てた夜
スマートフォンで検索していると、見慣れない院名が目に入った。
「TCB渋谷駅前院」
私の記憶にあったのは、「TCB渋谷東口院」だった。
「えっ、駅前にも新しくできたの?」
私は二つの院の場所を比べようとして、検索画面を何度も行ったり来たりした。地図を開き、閉じ、また開く。その姿だけ見れば、脱毛を検討している人というより、渋谷で待ち合わせ相手を見失った人である。
しかも私は、古い院名をメモしたスクリーンショットまで大切に残していた。
美容の情報は新しくしたいのに、スマートフォンの中だけは過去を保存しがちだ。元彼との写真は消せても、期間限定クーポンの画像はなぜか消せない。人間とは不思議な生き物である。
確認すると、TCB東京中央美容外科の院名は、次のように変更されていた。
変更前:【TCB】渋谷東口院
変更後:【TCB】渋谷駅前院
現在、TCBの公式サイトでも「TCB渋谷駅前院」と案内され、診療科目に医療脱毛が掲載されている。
つまり、以前の「渋谷東口院」という名前を覚えている人は、検索結果や予約画面で「渋谷駅前院」と表示されても、名前だけを見て別の院だと早合点しないようにしたい。
ただし、予約前には院名だけで判断せず、予約確認メールや公式ページで所在地、診療時間、予約先を改めて確認するのが安心だと思う。
私のように古いスクリーンショットを握りしめて、「私はどこへ行けばいいの」と小さな旅番組を始める必要はない。
名前が変わるだけなら簡単そうに見える。
けれど、通院を考えている側にとって、クリニック名は思っている以上に大切だ。美容医療はコンビニでコーヒーを買うのとは違う。予約する場所も、施術内容も、自分が納得できるまで確かめたい。
きれいになりたいときほど、気持ちだけ先に走らせず、情報を一つずつ確認する。
美容業界で働いていた頃、お客様にお伝えしていたことを、ようやく自分にも言ってあげられた気がした。
脱毛を考えたのは、誰かに選ばれたかったから?
婚活をしていると、ときどき自分が商品棚に並んでいるような気持ちになる。
年齢、仕事、住んでいる場所、趣味、結婚観。
短いプロフィールの中で、自分という人間を分かりやすく見せなければならない。写真を選ぶときには、明るすぎても不自然、暗すぎても怖い。笑いすぎると軽く見えそうで、真顔だと機嫌が悪そうに見える。
ちょうどいい私を探しているうちに、本当の私が後ろでコーヒーを飲み始める。
脱毛について調べた夜も、最初は「婚活相手にきれいだと思われたい」という気持ちがあった。
それは否定しない。
むしろ、かなりあった。
けれど、その気持ちの奥をのぞいてみると、別の本音もあった。
私は、誰かの視線を気にするたびに自分の肌を点検することに、少し疲れていたのだ。
腕を出す服を着るか。
温泉へ誘われても困らないか。
急な予定が入っても慌てずに済むか。
脱毛を検討することは、誰かに選ばれるための準備だけではない。自分が着たい服や過ごしたい時間を、自分で選びやすくするための準備でもある。
そう考えると、少し気持ちが軽くなった。
TCBの医療脱毛には、全身、ワキ、VIOなど複数の照射部位やプランが案内されている。ただ、どの範囲が必要なのか、何回くらいを考えるのか、費用をどこまでかけられるのかは、人によって違う。
私は価格を見ると、すぐに頭の中で生活費へ換算してしまう。
「これは何回分のランチだろう」
「今月のカード明細は耐えられるだろうか」
「美容にお金を使って、来週もやし中心の食卓にならないだろうか」
きれいになりたい気持ちと、通帳を守りたい気持ちは、いつも同じテーブルで向かい合っている。
だからこそ、広告で見た金額だけで決めず、自分が希望する部位、総額、追加費用の有無、予約の取り方、途中で通いにくくなった場合の扱いまで確認したいと思った。
無料カウンセリングがあっても、その場で必ず契約しなければならないわけではない。
質問したいことをメモしておき、説明を聞いたあとに一度持ち帰る。納得できなければ申し込まない。それくらい慎重でもいい。
医療脱毛は医療行為なので、痛みや赤みなどの感じ方には個人差がある。肌の状態や体調によって施術できない場合も考えられるため、敏感肌や乾燥、服薬など気になることがあれば、事前に医師へ正直に相談したい。
TCBの公式案内でも、施術期間中は保湿、摩擦を避けること、紫外線対策などが大切とされている。脱毛前後の注意事項
私はもともと乾燥や赤みが出やすいので、ここは「まあ何とかなるでしょう」で通り過ぎたくない部分だ。
なお、この記事は私がTCBの脱毛施術を受けて効果を報告する体験談ではない。院名変更を知ったことをきっかけに、医療脱毛を検討するときの自分の気持ちと、確認しておきたいことを書いたものだ。
実際の施術内容、料金、対象院、予約条件などは変わる可能性があるため、申し込み前に必ず最新の公式情報を確認してほしい。
鏡の前で選び直したのは、私自身だった
翌朝、私は昨夜と同じ洗面所に立った。
窓から入る光は少し白く、蛇口から落ちる水の音だけがやけに大きく聞こえた。
鏡の中の私は、昨日と何も変わっていない。腕のムダ毛も、婚活への迷いも、カードの請求額を怖がる性格も、そのままだ。
それでも、少しだけ気持ちは変わっていた。
脱毛をするかどうかは、まだ決めていない。
カウンセリングを受けてから考えてもいいし、今は自己処理を続けるという選択もある。お金や肌の状態を優先して、しばらく待つのも立派な答えだと思う。
大切なのは、「きれいにならなければ誰かに選ばれない」と自分を追い込むことではなかった。
私は私の暮らしを少し楽にするために、美容を選んでいい。
服を楽しむため。
慌ただしい朝を少し短くするため。
鏡を見るたびに欠点探しをしないため。
その結果として自信が生まれ、誰かに会う日の笑顔が少し自然になったなら、それはうれしいおまけだ。
クリニックの名前は、「TCB渋谷東口院」から「TCB渋谷駅前院」へ変わった。
名前が変わると、一瞬だけ別の場所のように感じる。でも、そこで立ち止まり、確認し、自分が何を望んでいるのか考え直すきっかけにもなる。
私は古い院名を書いたメモの横に、新しい名前を書き足した。
【TCB】渋谷駅前院
そして、昨夜検索したままになっていたスマートフォンを伏せ、温かいコーヒーをひと口飲んだ。
脱毛の予約ボタンは、まだ押していない。
それでも私は、誰かに見つけてもらうためだけではなく、自分で自分を選ぶ準備を、ほんの少し始められた気がする。
あなたが美容に時間やお金を使いたくなる日は、誰のためにきれいになりたい日ですか。





